「今はまだバーゲン・プライス」…そう言えるかもしれません。 「ステレンボッシュの上質なカベルネ・ソーヴィニヨンは?」と聞かれて、マリヌー夫妻を思い浮かべる方は、そうそうおられないでしょう。確かに彼らは所謂「ケープ・ブレンド」による『リーウ・パッサン・ドライ・レッド』を手掛け、このカテゴリーで既にトップを獲っています(日本定価15,)。ただせいぜいそこまでであり、カベルネ・ソーヴィニヨンのイメージは殆ど無いはずです。しかし実は、彼らはその裏で、数年に渡ってゆっくり丁寧に「単一カベルネ」の構想を温め続け、プロジェクトを粛々と進行させてきました。「古樹の女王」ことロザ・クルーガー(>>詳細)の指南と紹介のもと、ステレンボッシュ近郊、およそ20の畑をめぐり、そこから5ヶ所を選別。うち2~3ヶ所の果実をブレンドし、遂に’18年にてグレッグ・シャーウッドより「これは間違いなく、近年ステレンボッシュから出てきたカベルネ・ソーヴィニヨンの最もエキサイティングな新作の一つ」と評されるほどのカベルネを生み出すことに成功。そして四年目にしていよいよ仕上がりは最高潮を迎え、ワインマグが「過去ベスト」と、プラッターズが「素晴らしい」と、グレッグ・シャーウッドが「現状最も魅力的なヴィンテージ」と述べる史上最高傑作が完成しました。それこそが、この’21年ヴィテージです。試飲しましたが、力強さと気魄の主張、そして同じだけ大きなスケールの貴賓に感激…(詳細後述)。定価3倍近くになるドライ・レッド(15,)と比較しても、各メディア評とも大差なく、ワインマグなどでは逆転していますが、それにも頷ける内容です。同等評価を受ける南アのカベルネを見ても、『ブーケンハーツクルーフ』、『カノンコップ』、『ル・リッシュ』、『ラス・エン・フレーデ』、『オウ・デ・ネクター』、『ヴィラフォンテ』、『ザルゼ・ファミリー・リザーヴ』ら軒並み前後。恐らく、今後数年で、最も値上がりする何ア・カベルネの一つになりそうな予感(的中しなければ良いのですが…)。クオリティからすれば、現状、明らかなバーゲン・プライスと言えましょう。リーウ・パッサン(Leeu Passant) 2007年にスワートランドに設立され、順調な成長を遂げ、今や【Winery of the Year】【Winemaker of the Year】【認定】と至高のタイトルを数多手中に収め、南ア最高峰のワイナリーの一つに数えられるまでになった 『マリヌー』。南アに4社しか存在しない、アトキン11年連続【一級格付け】生産者の一つです。この躍進に大きく貢献した人物が、「オールド・ヴァインの女皇」、ロザ・クルーガー女史(→詳細/右画像)。実は彼女、クリスとアンドレアのマリヌー夫妻に、度々スワートランド "外" にも素晴らしい畑、フルーツがあることを説き、誘い出してはいたのですが、夫妻はマリヌー・レーベルの果実使用をスワートランドに限定していたため、これに乗り出すことができませんでした。しかし2013年、転機が訪れます。それが夫妻に出資する人物…インド人実業家にして、有力企業MAXグループの創設者、アナルジット・シン(Analjit Singh)の登場です。両者により 『リーウ&パッサン』 を立ち上げることで、スワートランド外(主にステレンボッシュ)での新たな、そして刺激的なワイン造りをスタートさせることができたのです(因みに位置づけとしては、リーウ・エステート、リーウ・ハウスなどの世界的ブティック・ホテルを中心としたグループ企業、「リーウ・コレクション」の中のひとつ)。 シャルドネは複数銘柄を持つリーウ・パッサンですが、単一カベルネは現状このステレンボッシュのみ。ステレンボッシュ・カベルネ ’18年を初リリースとし、今作’21年でまだ四作目、というステレンボッシュ・カベルネ。ヘルダーバーグの複数ブロック(アトキンは2区画、ワインマグでは3区画との表記)からの果実を使用。除梗後、天然酵母にて発酵させ、四週間のマセレーション。パンチングダウンは2日に一度。プレス後、新樽比率30%のフレンチ・オークで12ヶ月熟成させ、5000リッターの木製大桶に移し替えて、更に12ヶ月熟成。ワイナリーのアロケーション・メンバー限定販売品のため、ワイナリー公式サイトでも購入できません。グレッグ・シャーウッドはその美しいフォルムを、「1960年代のジャガーEタイプ(車)も嫉妬する輪郭」と例えています。Winemag(2023.4)より 【WM96点】 「Grapes from three Helderberg blocks. Matured for 12 months in oak of which 30% was new before being transferred to 5 000-litre wooden vats for a further 12 months. Attractive top notes of fresh herbs and rose before red and black berries. The palate is medium bodied with great fruit purity, fresh acidity and firm but not astringent tannins. With almost faultless structure and poise, this is really charming and by far the best vintage to date.」Platters Guide 2024より 【PG94点】 「Superb 2021 from Helderberg slopes adds origin to name. Brims with dark blackcurrant fruit, graphite, floral perfume & fynbos. Voluminous & powerful, yet finely textured with powdery tannins, great depth & long-lingering intensity. Built to develop 15+ years. Natural ferment; 23 months in 30% new barrel & 5,000L foudre.」Tim Atkin South Africa Report 2023より 【TA94点】 「The Leeu Passant Cabernet Sauvignon comes from two parcels on the Lower Helderberg with a marked influence from False Bay. Subtle, focused, refined and nuanced, its a Cape red for lovers of fine Bordeaux, combining notes of graphite, cassis, plum and fresh herbs framed by graceful tannins.」試飲しました。【2024.5】 照りのあるガーネットから、ハーバルな勢いと気品、高級感ある、この時点でもう造り高さを伺わせる凛とした香り。味わいに若さを感じさせるものの、密度の極めて高い洗練された核の果実味は既に完成されていて、黒胡椒やシダー、あるいはレザーなど、複雑味を感じさせるスケールの大きな果実の力強さ、そして気迫に満ちた主張の前では些細なこと。極めてきめ細やかなタンニンに、艶のある凛とした酸味。加えて骨格のしっかりした洗練度の高い構成には冷涼感を伴ったエレガントさ、しなやかさが。一本筋の通った全体の果実風味の美しい調和は誠に見事で、その流れは淀むこと無く、旨味だけが初日より二日目、二日目より3日目に更に増進します。これについては、グレッグ・シャーウッドも「日を追うごとに美味しい。アンドレア(マリヌー/右画像)の造りを知っている人なら、彼女は、開けてから数日経って初めて明らかになる様々な秘密をワインに隠していること、もうご存知ですよね」と(したり顔で?)綴っています。素晴らしいカベルネです。5,という価格にして、著名な格のステレンボッシュ・カベルネに何ら遜色ありません。あっという間に1.5倍くらいの価格になってしまいそうな、怖さすら感じさせる完成度。この価格に収まっているあいだに、一度触れておいて頂きたい銘醸です。
「ステレンボッシュの上質なカベルネ・ソーヴィニヨンは?」と聞かれて、マリヌー夫妻を思い浮かべる方は、そうそうおられないでしょう。確かに彼らは所謂「ケープ・ブレンド」による『リーウ・パッサン・ドライ・レッド』を手掛け、このカテゴリーで既にトップを獲っています(日本定価15,)。ただせいぜいそこまでであり、カベルネ・ソーヴィニヨンのイメージは殆ど無いはずです。しかし実は、彼らはその裏で、数年に渡ってゆっくり丁寧に「単一カベルネ」の構想を温め続け、プロジェクトを粛々と進行させてきました。「古樹の女王」ことロザ・クルーガー(>>詳細)の指南と紹介のもと、ステレンボッシュ近郊、およそ20の畑をめぐり、そこから5ヶ所を選別。うち2~3ヶ所の果実をブレンドし、遂に’18年にてグレッグ・シャーウッドより「これは間違いなく、近年ステレンボッシュから出てきたカベルネ・ソーヴィニヨンの最もエキサイティングな新作の一つ」と評されるほどのカベルネを生み出すことに成功。そして四年目にしていよいよ仕上がりは最高潮を迎え、ワインマグが「過去ベスト」と、プラッターズが「素晴らしい」と、グレッグ・シャーウッドが「現状最も魅力的なヴィンテージ」と述べる史上最高傑作が完成しました。それこそが、この’21年ヴィテージです。試飲しましたが、力強さと気魄の主張、そして同じだけ大きなスケールの貴賓に感激…(詳細後述)。定価3倍近くになるドライ・レッド(15,)と比較しても、各メディア評とも大差なく、ワインマグなどでは逆転していますが、それにも頷ける内容です。同等評価を受ける南アのカベルネを見ても、『ブーケンハーツクルーフ』、『カノンコップ』、『ル・リッシュ』、『ラス・エン・フレーデ』、『オウ・デ・ネクター』、『ヴィラフォンテ』、『ザルゼ・ファミリー・リザーヴ』ら軒並み前後。恐らく、今後数年で、最も値上がりする何ア・カベルネの一つになりそうな予感(的中しなければ良いのですが…)。クオリティからすれば、現状、明らかなバーゲン・プライスと言えましょう。
リーウ・パッサン(Leeu Passant)
2007年にスワートランドに設立され、順調な成長を遂げ、今や【Winery of the Year】【Winemaker of the Year】【認定】と至高のタイトルを数多手中に収め、南ア最高峰のワイナリーの一つに数えられるまでになった 『マリヌー』。南アに4社しか存在しない、アトキン11年連続【一級格付け】生産者の一つです。この躍進に大きく貢献した人物が、「オールド・ヴァインの女皇」、ロザ・クルーガー女史(→詳細/右画像)。実は彼女、クリスとアンドレアのマリヌー夫妻に、度々スワートランド "外" にも素晴らしい畑、フルーツがあることを説き、誘い出してはいたのですが、夫妻はマリヌー・レーベルの果実使用をスワートランドに限定していたため、これに乗り出すことができませんでした。しかし2013年、転機が訪れます。それが夫妻に出資する人物…インド人実業家にして、有力企業MAXグループの創設者、アナルジット・シン(Analjit Singh)の登場です。両者により 『リーウ&パッサン』 を立ち上げることで、スワートランド外(主にステレンボッシュ)での新たな、そして刺激的なワイン造りをスタートさせることができたのです(因みに位置づけとしては、リーウ・エステート、リーウ・ハウスなどの世界的ブティック・ホテルを中心としたグループ企業、「リーウ・コレクション」の中のひとつ)。
シャルドネは複数銘柄を持つリーウ・パッサンですが、単一カベルネは現状このステレンボッシュのみ。ステレンボッシュ・カベルネ
’18年を初リリースとし、今作’21年でまだ四作目、というステレンボッシュ・カベルネ。ヘルダーバーグの複数ブロック(アトキンは2区画、ワインマグでは3区画との表記)からの果実を使用。除梗後、天然酵母にて発酵させ、四週間のマセレーション。パンチングダウンは2日に一度。プレス後、新樽比率30%のフレンチ・オークで12ヶ月熟成させ、5000リッターの木製大桶に移し替えて、更に12ヶ月熟成。ワイナリーのアロケーション・メンバー限定販売品のため、ワイナリー公式サイトでも購入できません。グレッグ・シャーウッドはその美しいフォルムを、「1960年代のジャガーEタイプ(車)も嫉妬する輪郭」と例えています。Winemag(2023.4)より 【WM96点】
「Grapes from three Helderberg blocks. Matured for 12 months in oak of which 30% was new before being transferred to 5 000-litre wooden vats for a further 12 months. Attractive top notes of fresh herbs and rose before red and black berries. The palate is medium bodied with great fruit purity, fresh acidity and firm but not astringent tannins. With almost faultless structure and poise, this is really charming and by far the best vintage to date.」Platters Guide 2024より 【PG94点】
「Superb 2021 from Helderberg slopes adds origin to name. Brims with dark blackcurrant fruit, graphite, floral perfume & fynbos. Voluminous & powerful, yet finely textured with powdery tannins, great depth & long-lingering intensity. Built to develop 15+ years. Natural ferment; 23 months in 30% new barrel & 5,000L foudre.」Tim Atkin South Africa Report 2023より 【TA94点】
「The Leeu Passant Cabernet Sauvignon comes from two parcels on the Lower Helderberg with a marked influence from False Bay. Subtle, focused, refined and nuanced, its a Cape red for lovers of fine Bordeaux, combining notes of graphite, cassis, plum and fresh herbs framed by graceful tannins.」試飲しました。【2024.5】
照りのあるガーネットから、ハーバルな勢いと気品、高級感ある、この時点でもう造り高さを伺わせる凛とした香り。味わいに若さを感じさせるものの、密度の極めて高い洗練された核の果実味は既に完成されていて、黒胡椒やシダー、あるいはレザーなど、複雑味を感じさせるスケールの大きな果実の力強さ、そして気迫に満ちた主張の前では些細なこと。極めてきめ細やかなタンニンに、艶のある凛とした酸味。加えて骨格のしっかりした洗練度の高い構成には冷涼感を伴ったエレガントさ、しなやかさが。一本筋の通った全体の果実風味の美しい調和は誠に見事で、その流れは淀むこと無く、旨味だけが初日より二日目、二日目より3日目に更に増進します。これについては、グレッグ・シャーウッドも「日を追うごとに美味しい。アンドレア(マリヌー/右画像)の造りを知っている人なら、彼女は、開けてから数日経って初めて明らかになる様々な秘密をワインに隠していること、もうご存知ですよね」と(したり顔で?)綴っています。素晴らしいカベルネです。5,という価格にして、著名な格のステレンボッシュ・カベルネに何ら遜色ありません。あっという間に1.5倍くらいの価格になってしまいそうな、怖さすら感じさせる完成度。この価格に収まっているあいだに、一度触れておいて頂きたい銘醸です。
グレッグ・シャーウッド96+ポイント
ワインマグ96ポイント
プラッターズ・ガイド94ポイント
ティム・アトキン94ポイント